デジタルシネマ第8回 歴史その7 DSLR

DSLRの登場

デジタルシネマの歴史の中でまったく予期しない形でシネマカメラが出現しました。それがDSLR(Digital single-lens reflex camera)と呼ばれるカメラです。
DSLRは、いわゆるデジタル一眼レフカメラのことです。イメージセンサーが今までのビデオカメラやシネマカメラに比べて大幅に違う最大35mmフィルムのフルサイズFull Size(36mm x 24mm)と同じであるので非常に被写界深度の浅い映画的な映像を撮る事が可能になりました。これは、映画撮影用のカメラが数百万円し、また、創世記の章でも触れたSONY CineAlta F900などのビデオカムコーダーのセンサーサイズが2/3インチサイズであることを考えると画期的な出来事です。この章ではDSLRにおけるシネマカメラの歴史を紐解いていきましょう。
ここでカメラのフィルム(センサー)サイズの比較をしておきます。

35㎜フルサイズ、スーパー35mm、APS-C(H)、フォーサーズの比較

フルサイズFull Sizeとは?

フルサイズとは、35mmフィルムの規格です。皆さんはフィルムを見ることもほとんどないかもしれませんね。

35mm film roll

フルサイズとは、その35mmフィルムのスチル写真の場合のフォーマットを指します。サイズは約36mm x 24mmです。フィルムの両端にある穴をパーフォレーションと呼びます。これはフィルムをコマ送りするときにギアを絡めるための穴です。スチル写真の場合にはそのフィルム送りの方向が横方向なのでヨコ使い(横走り)と呼びます。しかし通常の35mmフィルムの場合はタテ使い(縦走り)で用いるので面積は半分のスーパーSuper35mmというサイズを用います。

フルサイズの特徴、メリット

センサーサイズが大きいということはどういうことなのでしょうか?あるいはどういうメリットがあるのでしょうか?センサーサイズが大きいと光を受ける面積が大きいので光量が多いということです。その結果、被写界深度が浅くなります。いわゆるボケ足が出てくる。感度やS/N比でも有効なので感度が高く、S/N比の高いノイズのない画質をもたらします。半面、製造コストとしてはセンサーの面積が広い分、分止まりが落ち、コスト高になります。しかし、最近は製造技術が向上しコスト的にもだいぶ下がってきています。

CANON 5DmarkII

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その先駆けとなったのがCANON 5DmarkIIです。CANONが新たに市場に送り出した5DmarkII(2008年11月29日発売)が2010年のファームウェアのアップデートで24Pを可能にすると、今まで考えもしなかったムービーカメラの登場と歓迎されました。海外TVドラマ『Dr.HOUSE(ドクター・ハウス、原題:House M.D.)』(2012)第6シーズンの最終131話にて初めてドラマに使用されました。

5DmarkIIの最大の特徴は、いわゆる35mmフルサイズのセンサーを持つことです。フルサイズとは、35mmフィルムの横使いのアパーチャーサイズのことを指し、1953年にParamount Picturesが開発したビスタビジョン(VistaVision)の使い方と同じです。ビスタビジョンはスチルカメラで言うところの35mm x 8-perforation、36mm x 24mmサイズになります。当時は「ホワイト・クリスマス」「風と共に去りぬ」「北北西に進路を取れ」などで使われました。
現在では、ビスタビジョンサイズで撮影することはほとんどなく、35mm x 4-Perforation のシネスコープ(CineScope)が標準です。この事からも5Dがいかに画期的な機能を盛り込み、その結果フィルムメーカーたちに絶大な支持を得たかが理解出来るかと思います。

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「北北西に進路を取れ」(1959)
アルフレッド・ヒッチコック監督

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また、2008年には5DmarkIIで撮影された『Reverie』というショートフィルムも作られました。この作品はビンセント・ラフォーレVincent LaForetの作品。彼はニューヨークタイムズの写真家だっでしたが、2009年に動画投稿サイトvimeoにアップし、話題となり、200万ビューの閲覧数でその後たくさんの映画やCMのオファーを受けることとなります。
Reverie(2008) by Vincent Laforet

EOS 5D Mark II Making of Video Reverie by Vincent Laforet

キャノンから依頼されEOS CINEMA C-300のプロモーション用に撮影された作品「Mobius」(2014)

その後継機である5DmarkIIIはその安定感でユーザー層を確固たるものとしていきます。
CANON 5DmarkIII

その後、DSLRムービーの潮流を作っていくことになります。

それはPanasonic LUMIX GH2,GH3,GH4、GH5、NIKON、SONY αシリーズ、ブラックマジック、そしてCANONのシネマカメラシリーズにつながっていくのです。

CANON7DMarkII 60P
NIKON D810/D750 35mmフルサイズ(FXサイズ)
最近では4Kのムービーカメラも登場し、
Lumix GH4 MFT
SONY α7S フルサイズ
SONY α7RII フルサイズ

総括、まとめ
DSLRはデジタル一眼レフのこと。DSLRがスチルカメラとしてセンサーサイズを大きくする中で、それまでのビデオカメラよりも高画質が可能になる。動画特に24pに対応したことによりフルサイズセンサーのもつ新しい映画の概念や制作ワークフローをもたらした。

フルサイズDSLR

35.6×23.8mm:α7S,α7SII
35.8×23.9mm:α7,α7II,α99,5D,1DS,M9,M-E,M
35.9×24.0mm:α7R,α7RII,α900,D750,D610,D600,D810,D800(E),D810A,D3X,
36.0×23.9mm:D700,D3S,D3,D4,D4S,Df,
36.0×24.0mm:5DIII,5DS(R),1DX,5DII,1DSII,1DSIII


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