デジタルシネマ第11回 歴史その10 4K8Kへ

この講義では、地上波デジタル放送の完成(アナログ放送の終了)2011年7月24日以降のメディア、特に映画と放送の中で次世代と呼ばれる解像度規格について述べていきたいと思います。

今後の映画 DCIの掲げる4K8K
米国のDCIによって2つの規格が策定されています。2,048×1,080ピクセルの2Kモードと4,096×2,160ピクセルの4Kモードです。圧縮方式はJPEG2000が採用。

放送業界の動き
2014年のNABでは4Kのテレビが出揃いました。2015年には、放送、配信に関しての製品が出てきています。

4Kの基礎知識 RED社の4Kテクノロジーの変遷

RED EPIC , SCARLET(2013年10月発売)

4Kとはなにか?
4K画像の基本フォーマット
2014年、国内でも4K/8K放送へのロードマップを総務省が発表したこと、そして展示会などにおいても4Kカメラ、4Kモニタの普及で4K画像を目にすることができるようになり、制作業界でも4K、そして8K(スーパーハイビジョン)への動きがここにきて急速に高まってきた。また大型量販店などでも民生機器の販売においても『4K』の文字が目立つようになり、一般にも『4K』という言葉が浸透し始めています。

HDの約4倍の解像度となる高精細な4K映像は、その表示の鮮明さから人間の目にはステレオ3D以上の物の立体感を感じるなど、その高解像度を利用した様々なコンテンツへの期待とともに多くの映像制作者が注目しています。その一方で、コンテンツの制作や上映に向けての記録、伝送方法において、そこで発生する膨大なデータ量に対して効率的かつ明確なワークフローが未だ見えていないなどの課題も多く、4Kがスタンダードなフォーマットに落ち着くまでは整理しなければならないことがあります。

1920×1080(アスペクト比 16:9)のHDサイズの等4倍にあたるのが、4K UHD(ULTRA HD)サイズの3840×2160。昨年まではQFHD(Quad HD)と呼ばれていた。この他にDCIが策定している4Kサイズとして、4096×2160(アスペクト比 1.9:1)の、通称「フル4K」と呼ばれるデジタルシネマ向けの画角がある。

ここではまず、この4Kに関する基本的な知識を集約しておきたい。現在4Kと呼ばれる映像フォーマットは、大きく2つのカテゴリーに分けられる。1つは、『4K UHD(もしくはUltra HD)』という規格。これは現行のHD(1920×1080ピクセル)のジャスト4倍で、解像度が横3840×縦2160ピクセル(アスペクト比は16:9)というもの。主にテレビ放送、テレビ受像機向けの4K規格として、正式に2013年のInternational CESでITU(国際電気通信連合)によって策定されている。これらは昨年までQuad HD、QFHDとも呼ばれていたが、CESでのITUの正式策定により、UHD、もしくはUHDTVという呼称に統一されている。

もう1つはアメリカの大手映画配給会社などで構成されるデジタルシネマの標準化団体DCI(Digital Cinema Initiatives)で策定された映画=デジタルシネマ向けの規格『DCI 4K』。画面サイズは2Kの4倍にあたる横4096×縦2160ピクセル(アスペクト比/ 1.90:1)。こちらはデジタルシネマカメラや映画上映機材に向けた規格となっており、現在この2つを包括して“4K”と呼んでいる。
DCIが定めるDCI 4Kについては、あくまでカメラの撮像素子やデジタル上映機器の最大画角サイズであり、現状ではここから横長サイズのシネマスコープ(シネスコ)のようなワイドスクリーン(2.35:1)や、ビスタサイズ/アメリカンビスタサイズ(1.88:1)、ヨーロピアンビスタサイズ(1.66:1)などの各映画仕様のアスペクト比にクロップ(上下に黒を入れマスキングする)して使用される。

現時点までの4Kテクノロジーの変遷

デジタルカメラにおける4Kの歴史

2006年のCineGearExpoに出品されていた、DALSA社の Origin カメラは初の4Kで撮影できるデジタルビデオカメラ
16bit、12ストップのダイナミックレンジ、400M/secのRAWデータで収録
価格も数千万というかなりの高額
その後2008年にDALSA社は“Origin”カメラの製造を中止、(同社は2010年にテレダイン・テクノロジー社が買収)

2006年ごろからカメラメーカーとして具体的な活動を始めた、RED Digital社が登場、最高4.5Kでの撮影を可能にしたRED ONEカメラを発表。スーパー35mmサイズ/4520×2540というピクセルサイズのCMOSセンサーを有するこのカメラは、最初から4Kサイズでの画像収録が可能で“REDCODE RAW”というオリジナルのRAW形式とアップルのProResコーデックによる収録というワークフロー重視の収録形態、2Kから4.5Kまでの記録が可能、フレームレートも1〜120pまでのハイスピード撮影、さらには開発段階からデポジット制による開発資金調達とネットによる直接販売など、これまでのカメラメーカーの常識を打ち破る画期的なスタイルで、デジタルシネマカメラ市場にある意味で革命を起した。
RED ONEカメラ2012年10月には生産終了。
『EPIC』と『SCARLET』にカメララインナップを移行。どちらも5120×2700ピクセル=5K解像度の14bit 13.5ストップのCMOSセンサー“Mysterium X”を搭載。
5Kという大型センサーを搭載することで、これらのカメラを“DSMC=Digital Still Motion Camera”として位置づけたこと。ムービーとスチールを1台で撮影できるカメラというコンセプトは、デジタル一眼レフカメラ(DSLR)の世界にも影響することになる。

RED Digital Cinema Camera:当初からOVER HD&DSMCというコンセプトで開発されたREDカメラ。写真の“Brain”と呼ばれるカメラ本体に、レンズ、バッテリー、メモリ、ハンドルリグなど、撮影仕様によって必要な機材を付け足して行くモジュラー式のカメラシステムは多くのユーザーからも支持。4K収録は主にREDCODE RAW収録で、発表当初はこのファイルワークフローの面倒さなどが指摘されたが、REDCINE-X PRO(R3Dファイル専用ソフトウエア)やRED ROCKET-Xボード等の進化により、大きく改善。写真は左が、初号機となる『RED ONE』(生産終了)、左下が普及版の『SCARLET』、右下が現行のフラッグシップマシン『EPIC』。近日、更にHDの9倍となる次世代センサー“6K RED DRAGON”を搭載した『EPIC DRAGON』も発表予定。

※この記事はコマーシャル・フォト2013年9月号 特集「4K入門」から

Weblioで調べる

RED ONE UHDTV 国際電気通信連合 EPIC ITU(国際電気通信連合)

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RED EPICでコマーシャル・フォト表紙を撮影する

放送の歴史、流れをどう盛り込むか
デジタル放送移行の歴史的な変遷
通信の流れ

現行での4Kコンテンツは「放送」「VOD」「プライベート映像」の3種類

4K放送は「Channel 4K」と「スカパー! 4K」

4K放送は現状で試験放送として提供されている「Channel 4K」と、商用放送として2015年3月にスタートした「スカパー! 4K」の2つがある。Channel 4Kは124/128度CS放送「スカパー! プレミアムサービス」を利用して放送されており、パラボラアンテナとスカパー!プレミアムサービス対応の4Kチューナーがあればどちらも視聴できる。

音楽ライブやスポーツなども放送する「Channel 4K」

Channel 4Kは次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が放送主体となって14年6月にスタートした、無料で視聴できる4K試験放送だ。試験放送の終了日は未定となっている。現在のところ、平日は午後0時から午後7時まで、土日は午前10時から午後10時まで放送中だ。
放送されているコンテンツのカテゴリーは「自然・紀行」、「ドキュメンタリー」、「趣味」、「音楽」、「スポーツ」、「ドラマ」だ。それに加えて、8Kカメラで撮影された「8K制作」コンテンツも放送されている。NHKや民放各局のほか、スカパーJSATやジュピターテレコムなどのBS/CS、ケーブルテレビ各局の制作番組も提供されている。

国内初の商用4K放送「スカパー!4K」

「スカパー!4K」は、スカパーJSATが15年3月にスタートした国内初となる商用4K放送だ。「スカパー!4K 映画」と「スカパー!4K 総合」の2チャンネルで展開する。

スカパー!4Kを視聴する場合は、スカパーJSATが提供する「スカパー!プレミアムサービス」への加入が必要になる。初回のみ加入料3024円が必要で、月額の基本料金(421円)と見たいチャンネル、パックやセットの料金(例えば45チャンネルから好きな5チャンネルを選べる「スカパー!セレクト5」の場合は月額1980円)がかかる。


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