デジタルシネマ第4回 歴史その3 TVからパッケージへ

第4回 デジタルシネマの歴史 その3 TVからパッケージへ

マスメディアの台頭によってテレビは映像の中で主流となり映画観客動員数は衰退の一途を辿っていきます。

(資料:映画観客人口の推移)

1970年代後半  ビデオテープレコーダの普及が日本の家庭で始まる
1975 ソニーが家庭用ビデオベータマックス規格を開発、発売
1976 VHS(Video Home System)家庭用ビデオ規格を日本ビクターが開発 第1号機発売25万円
1977 松下電器産業(ビクター親会社)もVHSに参加。普及型ビデオデッキ「マックロード」発売し、VHS普及へ
1980年前後  ベータマックス方式 対 VHS方式 規格争い 13年かかり決着、ベータ敗退 1988にソニーもVHS併売

80年代にはいり、VTRプレーヤーが普及し、映画のパッケージが発売されるようになります。
VHSビデオテープのレンタルビデオ、セルビデオ(販売用)が流通するようになります。

「パッケージ・メディア」の衰退

レンタルビデオ店の普及により、ビデオパッケージ、VHS、Beta、VHD、LD、CD-ROM、DVD、BDなどのパッケージが普及してはなくなっていった。

 

ビデオ映画の台頭

『ドグマ95』運動
1995年頃からデンマークで起こった映画運動の流れの中で、民生のビデオカメラによる映画制作がおこなわれました。いわゆる『ドグマ95』運動です。この運動では、10の誓いが宣言されています。

ラース・フォン・トリアーらによって始められた。ドグマ95には「純潔の誓い」と呼ばれる、映画を製作する上で10個の重要なルールがある。2008年現在まで270作を数える。

「純潔の誓い」
1 撮影はすべてロケーション撮影によること。スタジオのセット撮影を禁じる。
2 映像と関係のないところで作られた音(効果音など)をのせてはならない。
3 カメラは必ず手持ちによること。
4 映画はカラーであること。照明効果は禁止。
5 光学合成やフィルターを禁止する。
6 表面的なアクションは許されない(殺人、武器の使用などは起きてはならない)。
7 時間的、地理的な乖離は許されない(つまり今、ここで起こっていることしか描いてはいけない。回想シーンなどの禁止である)。
8 ジャンル映画を禁止する。
9 最終的なフォーマットは35mmフィルムであること。
10 監督の名前はスタッフロールなどにクレジットしてはいけない。

「セレブレーション」(Festen、The Celebration 1998年)
監督トマス・ヴィンターベア
撮影監督アンソニー・ドット・マントル
1998年のカンヌ国際映画祭 審査員賞
SONY DVハンディカムDCR-PC3(?)を使用した。

「セレブレーション」予告篇(Festen,1998)

その後のビデオによる映画制作の気運が高まった。
「イディオッツ」(The Idios ,1998)、「ミフネ」(Mifune、1999)、「ジュリアン」(Julien Donkey-boy ,1999)、「キング・イズ・アライヴ」(The King is Alive ,2000)

「チャック&バック」(Chuck & Buck ,2000)
プロデューサー ジェイソン・クリオット
「デジタルビデオの登場で低予算でも制作者の自由度が広がる」

一方でCDショップはCDの売上げが減少し、2006年に大手チェーンストアのTower Recordsが破綻

レンタルビデオ ブロックバスターが破綻

日本の音楽配信の特殊性と将来

日本の音楽配信は、着メロ、着うたというところから、一般化し、市場を作ってきました

iTunesなどのデジタル音楽配信

欧米では、iTunes killerと言われるSpotify中心になどの定額音楽配信サービスが急成長 フリーミアムモデル

パッケージが売れず、違法配信が横行

違法ダウンロードで音楽市場が成立しないほど(中国みたいな状況)ではありません。

日本でも、SONYのMusic UnlimitedやKDDIのKKBOXなど、本格的な定額音楽配信サービスが複数スタート月額980円

ドコモのdヒッツ サービススタートから11ヶ月で100万人の会員を獲得し、成長を続ける

 

月額980円で数千万曲聴き放題のサービスは、ゆるやかにしか会員が伸びていないのに、一方月額300円(税込み315円)のラジオ型サービスには、1年も経たずにして100万人ものユーザが入会しています。dヒッツに限らず、月額390円のauスマートパスは、わずか14ヶ月で600万人を突破、その20%は、うたパス、ビデオパスに入っていると考えられ、ソフトバンクとAVEXの共同運営している月額490円のUULAは、わずか3ヶ月半で、50万人を突破。ドコモのdアニメストアも1年1ヶ月で、100万人突破と、信じられないスピードで有料会員を獲得しています。

海外から見ると、この状況は不思議に映るようで、「日本人は、500円未満の月額制でないと入らないのか?500円未満で使い放題であれば、なんでも入るのか?」と疑問に思うようです。実際、海外の音楽業界の方にこの現状の理由を説明してくれと質問を受けていた国内の音楽業界の友人もいたくらいです。彼がどう説明したかは、確認していませんが、確かに、フィーチャーフォンの時代から、月額315円というのは、携帯電話で課金する1つの単位であり、最もハードルの低い課金料金であることは確かです。ただ、月額500円を超えているか、否かということが、980円の定額制音楽配信サービスとそれ以外の伸びているサービスの明暗を分けているかといえば、YESでありNOです。

急激に、会員数が伸びた理由。それは、日本独自の加入プロモーションシステムに乗っかることができたからです。そのプロモーションに乗るためには、月額300円~500円という価格帯であることがふさわしい。そういう意味では、月額料金がが500円を超えているかは、答えとして正解です。そのプロモーションシステムは、業界では、「レ点」と呼ばれています。

元々は、キャリアの申込書にある□にチェックの意味で、カタカナの「レ」に似たマークを書き入れること=申込時にデフォルトで付帯させて申し込ませることを呼びます。いわゆるキャリアオプションのようなものです。キャリアが提供するサービスだけに許される、かなりの高確率で加入を促せる究極のプロモーション。ただ、強制的に入れているだけじゃないか、とかいうこともありますが、まあ、本質的な部分には、今回は目を瞑っておいて続けます。

オプションの留守電、キャッチホン同様、当然の流れで、おすすめし、申し込みます。機種変、新規加入をする全てのユーザにおすすめし、同時加入してもらうため、ユーザが、何かを代替するサービスとして選択するのではないため、ある種、通信費の一部という感覚で支払うため、既存の市場のパイを奪うことがほとんどありません。単純にアドオン。ときには、断ると、端末の購入価格が大幅に上がったりする場合があります。1ヶ月目でヤメる前提なら、割引分(=断った場合の割増分)と天秤にかけて得かもと皮算用して、結局申し込みます。

ショップでは、加入時には、かならず、それぞれのサービスに関して、十分な説明を行うよう指導はされていて、実際説明をしているのだとは思いますが、顧客側があまり聞いていないことや理解していないことが多く、加入している事自体を意識していないケースも少なくなく、その場合、解約されることも少ないので、会員数は積み上がる一方です。サービスには加入しているものの、全く使ったことがないユーザが多数いるというのも、この手法の特徴でもあります。段々、サービスの認知度が上がるに連れて、お金だけ払っていて使っていなかったユーザも段々使ってみるようになり、ユーザのアクティブ率が上がっていきますが、一度使い出してしまえば、ユーザは解約しづらく、元々課金されている意識も薄いので、止めずに使い続ける可能性は高いのです。もちろん、そこで、サービス内容がひどすぎれば解約しますし、ある程度のクオリティが保たれている前提ではありますが、既に加入しているサービスを続けさせるので、、新規に有料で入会させると際の要求クオリティに比べれば、ハードルは低めだと思います。

この日本固有の「レ点」とサブスクリプションサービスの相性は抜群で、拡大させたい市場の既存のパイを奪わずに、通信料を財源として、急激に有料会員を獲得させ、その結果、その市場に売上を作り、また、提供するサブスクリプションサービスは、稼働率が低ければ、既存市場には影響を与えようもなく、稼働率が上がったとしても、既存の市場の商品を完全にバッティングするほどのサービスレベルに調整することで、既存の市場への影響を最小限に、サブスクリプションという新しいサービスにユーザをソフトに慣れさせることができます。

そういう意味では、本質を抜きにすれば、レ点とソフトなサブスクリプションサービスを組み合わせることで、「音楽税」を全携帯電話保有者から徴収し、業界に還元することで補填をしながら、新たなサービスへのスムーズな移行を試みるというのが、日本式の音楽配信の未来の模索の仕方ではないでしょうか?まさに、これこそが、日本式のケータイ経済システムだと思います。

実際、Spotifyのようなフリーミアム型の音楽サブスクリプションサービスは、フリー部分の費用負担の重さと、1再生あたりの印税額の低さから、将来、事業として成立するかは、未だ証明されていないので、これが音楽配信の未来のスタンダードなのかはわかりませんが、少なくとも、日本式のケータイ経済システムであれば、仮にフリーミアム型の音楽サブスクリプションサービスというモデルが崩壊したとしても、正解がでるまで、市場を潰さずに、模索を続けることができそうです。

もう一つ、イマイチ詳細がわかりませんが、第二の着うたになるかもしれないサービス、それがLINE MUSICかもしれません。原盤を活用し、印税を発生させるものの、既存のビジネスに悪影響を与えないプラスアルファのサービス。着メロから派生した着うたは、まさに、そんなサービスでした。

着うたは、あくまで着信音であって、当時のCDセールスや、CDレンタルから顧客を奪うものではありませんでした。

時期を同じくして、CDパッケージ市場がシュリンクしていたので、あたかもCDの代替品であるかのように語られたこともありましたが、着うたは、仕組み上、CDから原則自分では作成できず、また、 着うたから、CDを作ることはもちろんできなかったため、全く別のアドオンの売上として、音源を使ったビジネスとして、音楽業界に貢献しました。

爆発的に全世界に普及したLINE上で使われているスタンプも、似た響きがあります。

購入したスタンプは、LINEでのスタンプ以外に使えず、スタンプ自体は、自作することはできません。(スタンプ風画像は作れますが、スタンプにはならないはず)様々な既存のIP(Intellectual Property)を利用する全く新しい商品であり、ここで作られた売上は、同一のIPを利用した他の商品の売上を阻害することはありません。すでに月商10億円を超えています。

この音楽版を感じさせる新サービス「LINE MUSIC」が、年内にスタートするという発表が先日されました。

詳細は、全く発表されていませんが、
・LINE本体のアプリで基本機能として導入
・LINEフレンドと一緒に音楽を聴いたり、コミュニケーションを楽しむ

というところを考えると、ここで購入しない限り、この使い方はできなさそうです。
例えば、iTunesで購入した楽曲がiPhone内に存在していたとしても、LINEアプリ上で、「LINEフレンドと一緒に音楽を聴いたり」することは、大人の世界的にも難しそうです。LINEアプリ上での使用に限定して、今までにない使い方をするために楽曲を購入する新たな機会と考えると、まさに着うたの再来となる可能性があります。

着うた市場の拡大は、ケータイの急速な普及と重なって加速しました。LINEは、現在、全世界2億人のユーザを抱え、成長を続けています。当然、日本市場で先行して始まるようです。日本市場で成功した暁には、LINEを通じて、特にアジア圏では、日本の音源がLINE MUSICで売れていく可能性も期待できます。詳細はわかりませんが、第2の着うたとして、期待してよいのではないでしょうか?

なんだよ、結局レ点とLINE頼りかよと思わないでください。他国には、それすらないんですから。
どちらも現状の音楽配信ビジネスとは、モデルが離れたところの話になってしまいましたが、新しい、もしくは、新しそうなサービスが出てきたら、それを「マイルド」にして、レ点でやってみる。圧倒的な数のユーザから、実際にお金を徴収しながら、実際に使ってもらって、チューニングしていく。その間、業界に対しても補填をしながらです。一方、完全に新たな市場として期待されるLINE MUSICもある。と考えると結構バラ色です。

パッケージや普通のアラカルト配信は、どうなるの?というと、より趣味性が進んで行くんじゃないかと思います。日本国民の○%がこぞって同じCDを買うなんて時代は、2度と来ない思いますが、ファンが記念品として買うものとしてのパッケージというのは、続いて行くものだと思います。パッケージは、ファンクラブで限定的に販売するものという時代がやってくるかもしれません。この有料ファンクラブというものが、これほど成立しているというのも実は、日本の特殊事情だったりもします。アーティストを後援する組織がしっかり存在している以上、近い将来には、ファンクラブ会費に楽曲代が含まれていく時代が到来するかもしれません。そういう意味では、囲い込みの意味でも、各レコード会社が、ファンクラブ領域に進出して直販、もしくは、楽曲のサブスクリプションサービスを行う可能性も十分にあります。そうなれば、ファンクラブの会員からの会費(楽曲費用も込み)で、原盤制作費用がそもそもペイしている状態から、楽曲制作ができるという時代がやってくるかもしれません。その時には、パッケージを購入したら、デジタル版はついてくるというKindle MatchBookの音楽版は、必須となるとは思いますが。


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