デジタルシネマ第6回 歴史その5 The ViperとDALSA Origin

バイパーThe Viper FilmStream Camera の登場

デジタルシネマの流れは、徐々にそして確実に動きつつありました。それはルーカスがいきなりSONYにHDカメラの改良を頼んだ経緯や発想とは違いフィルムのRawデータをどのように定着させたら良いか、という発想によるものでした。

2000年にトムソンThomson S.A.社が開発したバイパーThe Viper FilmStream Cameraは今までのSONYやPanasonicのcamcoderの流れとは一線を画していました。The ViperはRaw非圧縮の新しいラチチュードを求めた結果生まれました。そしてマイケル・マン監督トム・クルーズ主演2003年「コラテラル」(原題”Collateral”)の中で開花することとなります。劇中タクシーのフロント部に設置されたカメラは車内と外のナイトシーンを今までとは違う表情で捉えることに成功しています。車内のタクシー運転手のジェイミー・フォックスと後部座席に乗る殺し屋のトム・クルーズ、そして車外に広がるL.A.の夜景を同時にそして見事に捉えました。そして有名な”コヨーテシーン”、タクシー前を一瞬横切るL.A.に本当に徘徊するコヨーテの光る眼を見事に捉えています。
image2
「コラテラル」(2003)

そして同じく2005年「マイアミ・バイス」(原題”Miami Vice”)でも冒頭の屋上から見た濡れた夜景がRawデータならではの夜景の色彩を再現しています。そしてデビッド・フィンチャー監督も「ゾディアック」(原題”Zodiac”)でフィルムに代わる、そして合成に適したデータ量を持つ新しいメディアとしてThe Viperに注目しました。

28vice_600-700985
「マイアミ・バイス」(2005)
the_social_network_16
「ゾディアック」(2007)

ARRI アリフレックス D-20 (Arriflex D-20)

フィルムカメラメーカーであるARRIはデジタルシネマカメラD20を2005年11月に発表。このカメラは光学式ファインダー、35mmハーフサイズと同じ単板式のCMOSイメージセンサーを搭載しています。
D-20は2つのモードで撮影が可能でした。
データモードでは2880×2160の有効画素でRAWデータをカラー12ビット縦横比4:3で録画。HDモードでは撮像素子2880×1620の有効画素が使用され縦横比は16:9で1920×1080画素YUV 4:2:2、10ビットまたはRGB 4:4:4、10ビットにダウンサンプルできる。通常はソニーのHDCAM SR同様に有線である。

 

ダルサオリジンDALSA ORIGIN

オリジンは2003年にラスベガスで開催されたNAB展 ’03で公開され、ダルサ社は技術革新に貢献したとして4つの賞を受賞した。2006年、オリジンはテストのために1750ドル/日で貸し出しという形式で入手できるようになり、2005年に設立されたカリフォルニア州ウッドランドヒルズのカメラ棟から貸し出されるようになった。2006年11月、デジタルシネマにおける先駆者であるロブ・ハメル (Rob Hummel) をダルサ・デジタル・シネマ社の社長に迎えました。

オリジンカメラはフィルムカメラと Arri D20 と標準的なPLマウントの35mmレンズに似た回転する鏡によってファインダーにレンズを通した視野を送るレフレックス装置を備えています。カメラの大きさはちょうど大型の35mmフィルムカメラと同サイズです。

カメラから送り出されるRAWデータはおよそ毎秒400メガバイトである。記録装置はコーデックス デジタルレコーダーが使用され、4Kカメラの非圧縮データを1時間分保存できる。 オリジンカメラは画質の高さが知られており、全てにおいて従来機を凌駕している。カメラの解像度は4Kと2K、若しくは800万画素に対応している。解像度だけでなく、高諧調である事も特徴である。圧縮しないRAW形式の16ビット画像は他のカメラが10若しくは12ビットであるのに対して大きく上回っている。この事は結果的にダイナミックレンジが12段高い事を表す。毎秒30フレームの撮影に対応しているが、CCDイメージセンサは毎秒48フレームでの撮影まで可能である。

カメラは『Postcards from the Future(未来からの手紙)』を含むいくつかの作品の撮影で成功裏に使用されました。

ダルサオリジンは貸し出しのみで使用でき、パナビジョンの商業形態に似ています。

dalsa_side

2009年1月、ダルサはこの貸出ビジネスを中止し、デジタルカメラ部門も閉鎖してしまったため、ダルサ・オリジン、オリジンII、ともにダルサの4Kカメラは市場から消えていくことになります。

シリコンイメージング SI-2K Silicon Imaging SI-2K

「SI-2K」は取り外し可能なカメラヘッドの「SI-2Kミニ」を搭載しています。RAW12ビット非圧縮データをギガビットEternetでCPUレコーディング・システムへと転送するイメージングモジュールです。AVIやQuickTime ファイルとしてCineForm RAWへとエンコードされたデータは、編集ソフトウェアのタイムライン上に設置でき、変換やプロキシー作成も必要ありません。


2009年、アカデミー作品賞と撮影賞を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア(Slumdog Millionaire)』で使用されました。

『スラムドッグ$ミリオネア(Slumdog Millionaire)』予告篇

2009年NABショー


PDF