デジタルシネマ第14回 Side by Side フィルムは死んだのか?

フィルムの帝王コダック社の倒産
 
2012年1月、イーストマン・コダック社の倒産により、100年以上続いたフィルム写真、フィルム映画の時代はある意味で終焉を迎えた。
コダックの業績は2000年をピークに下降の一途を辿ります。カラーフィルムの世界総需要は、2000年をピークに2010年はたったの8%にまで下降する。カラーフィルム市場は10年間で、92%が消えていきます。
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フィルムの需要だけではありません。長い間、映画のディフェクトスタンダードであった映画館のフィルム上映は、デジタルシネマカメラの普及とポスプロ、デジタルプロジェクターのデジタル化整備によって急速にシュリンク(終息)していき、今現在日本国内の映画スクリーンのほぼ98%がデジタルシネマ対応の映画館となっています。(グラフ図参照)

全国映画館スクリーン数

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2013年4月、富士フィルムも一般向け、映画向けフィルムも生産中止を宣言。今後は、保存用の特別なオーダーのみ小規模ながら生産していくこととなります。また映画フィルムの現像所であるイマジカ(旧東洋現像所)も大阪のみラボ業務(現像)を残し、五反田の本社機能を移転することを発表。

コダックは、デジタルへの事業転換をある程度予測しながらも、その対応を外部委託による事業取り込みで対応しました。その結果は、2012年のチャプター11申請(会社再生法申請=事実上の倒産)となってしまいます。
富士フィルムはデジタル化に伴うフィルムの衰退をいち早く予測し、事業基盤の改革に取り組みます。その結果、業績を悪化する事なく事業変革する事に成功しました。フィルム開発で培った素材を新しいジャンルのバイオや医薬品、化粧品などに応用することに成功した事になります。
 
フィルムはどうなっていくのか?
 
コダックの倒産を受けて、コダックを保護しフィルム生産をなんとか存続させようという動きがハリウッドで立ち上がりました。(2014年)

 

2015年2月、コダックは、6つのハリウッドのメジャースタジオと新しいフィルム供給契約を確定したことを発表。契約の内容は、コダックは20世紀フォックス、ウォルト·ディズニー、ワーナー·ブラザーズ、NBCユニバーサル、パラマウント·ピクチャーズ、ソニー·ピクチャーズに対して映画やテレビ番組制作のために映画フィルムを提供していくというもの。

2015年に予定されている映画のうちコダックのフィルムで撮影予定されているのは「スター・ウォーズ:エピソード7/フォースの覚醒(原題 Star Wars: The Force Awakens」、「ミッションインポッシブル5」、「バットマン5」、「スーパーマン-正義の夜明け」、「ジュラシック·ワールド」、「アントマン」、「シンデレラ」、「Entourage」、「Trainwreck」などがあります。

クリストファー・ノーランなどのフィルム信仰の高い監督たちは、未だにフィルムで撮影することにこだわりを続けています。

ジョージ・ルーカスが2000年初頭にデジタルシネマの口火を切り、デジタル撮影を推進し、その結果ここ15年で急速な発展を遂げたデジタルシネマ。そのデジタル化によって衰退を余儀なくされたフィルムですが、ここに来てルーカスの手を離れ、ディズニーの元で創られる新しい「スター·ウォーズ」シリーズがもう一度フィルムで撮影されるというのはなんとも皮肉なことですね。

日本 国立近代美術館フィルムセンターは毎年一定の映画フィルムの保存修復をおこなっています。しかし、映画全体の割合としては10-15%程度です。
世界的にもフィルムセンターによる映画フィルム保存の動きは盛んにおこなわれています。


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