先端映像表現技術論第15回 ミュージックビデオ

ミュージックビデオはプロモーションビデオ、ミュージッククリップとも呼ばれ、その起源は80年代にさかのぼります。。それまで音楽シーンにおいて映像というのはライブ映像かテレビの歌謡番組などの映像に限られていました。音楽を売る為に映像をわざわざ撮影することなどあり得ないことだったのです。ところがMTVというMusic専門チャンネルがスタートして音楽と映像のあり方が根本から変わることになりました。ここではMVの起源からその発展と最新の動向を見ていきたいと思います。

ミュージックビデオの起源

ミュージックビデオを語る上でMTVチャンネルを外すことは考えられないでしょう。MTVは1981年にケーブルテレビの音楽専門チャンネルとして米国で始まりました。


ケーブルテレビが台頭する中で24時間放送する音楽専門チャンネルは同時期に開局したニュース専門チャンネルCNNと並んで画期的なものでした。

日本でも時を同じく1981年から小林克也がMCを務める「ベストヒットUSA」が始まります。英語混じりの軽妙なトークで若者たちに絶大な支持を得ます。「ベストヒットUSA」は 年まで続き、その後名前を変えてます。
1984年からMTVの映像をテレビ朝日系列で放送を始めました。テレビ神奈川(TVK)でも『ミュージックトマト』という音楽番組としてMVが流れました。当時はMVを見る環境は存在していませんでした。(YouTubeなどの動画サイトは当然ありません)洋楽や映像好きの若者は熱狂的に歓迎しました。

それ以外にも『ポッパーズMTV』(TBS系)、『SONY MUSIC TV』(TVK系)、『ビルボードトップ40』(TVK)、『ファンキートマト』(TVK)、『MTVジャパン』(TBS系)『TOKIO ROCK TV』(テレビ東京系)などの番組が出現しました。

『ラジオスターの悲劇』バグルス
『Video Killed The Radio Star』The Buggles

このクリップがMTVチャンネルで流れた最初のミュージックビデオだとされています。それまで音楽のプロモーションと言えばラジオだったことを考えると非常に象徴的な出来事です。

さて、少し時間を遡りましょう。MTV以前には音楽と映像はどのような融合、あるいは音楽に合わせたものを作っていたのでしょうか?

音楽と融合の歴史

音楽と演劇の融合 オペラ
演劇自体を音楽に乗せて進行させるもの歌劇とも言われる。ルネサンス後期の16世紀末に発明され、有名なところでは「オルフェ」などがあげられる。
やがて、オペラの新しい形態をポップオペラ

ミュージカル
そして音楽、歌、台詞、ダンスを結合させたもの
『ウエストサイドストーリー』
『マイ・フェア・レディ』
『屋根の上のヴァイオリン弾き』
『サウンド・オブ・ミュージック』など

ファンタジア 音楽とアニメの融合
ウォルト・ディズニーが手がけたセリフがほとんど無いアニメーションと音楽(クラシックオーケストラ)の融合を試みた映画
1940年『Fantasia』8篇のオムニバス

1999年『Fantasia2000』8篇のオムニバス

ビートルズ映画
『ビートルズがやって来る ヤァヤァヤァ』
『イエローサブマリン』

何かしら音楽に合わせて映像を表現する手法はあったと言っていいでしょう。でもそれはあくまで映像コンテンツとしてのものです。そういう意味でMVは商業主義の為、音楽レコードを売る為にわざわざ映像を作り、テレビ局やレコード店に配布してタダで流す(放映する)という宣伝広告としての新しいジャンルを確立していきます。

ミュージックビデオの申し子マイケル・ジャクソンとマドンナ

ミュージックビデオを積極的に取り入れ、成功したアーチストとしてマイケル・ジャクソンとマドンナを挙げることが出来ます。

「スリラー」マイケル・ジャクソン(1983年)
Michael Jackson – Thriller

当時この14分にも及ぶミュージックビデオには1億円で製作されたとされ、プロデューサーはフランシス・コッポラ、監督はジョン・ランディス、特殊メイクはアカデミー賞を取ったばかりのリック・ベイカーがキャスティングされています。

Michael Jackson Smooth Criminal

Madonna – Jump

レディガガ Lady Gaga – Poker Face

ジャミロクワイ Jamiroquai – Virtual Insanity

A-ha Take on me

ダイアー・ストレイツ
Dire Straits – Money For Nothing

We are the world USA for Africa
アフリカの飢餓を救えというチャリティのための楽曲

Kylie Minogue『Come Into My World』

モーションコントロールカメラで同じ動きを繰り返すことによって作られた傑作ミュージックビデオ。監督は仏ミッシェル・ゴンドリー。

自ら解説しているメイキングはこちら

OK Go『Needing/Getting』

馬鹿馬鹿しいことに真面目に取り組んでいるOK GOのPV
他にも
OK Go『I Won’t Let You Down』

OK Go『Upside Down & Inside Out』

Nosaj Thing “Eclipse/Blue” (2012年)

映像クリエイターは真鍋大度

Nosaj Thing – Cold Stares ft. Chance The Rapper + The O’My’s(2015年)

Squarepusher • ‘Stor Eiglass’ • YouTube 360(2015年)

CGによる全天周映像PVがこちら

FOALS – Mountain At My Gates [Official Music Video] (GoPro Spherical)

GoProでパノラマ撮影されたもの

livetune adding 中島 愛「Transfer」

Avicii – You Make Me

Graham Coxon – What’ll It Take

Unleash Your Fingers : Next Generation

WORLD OF FANTASY / capsule

Night Stroll tao tajima

GLADIOLUS

Rayons ft. Predawn – Waxing Moon

『League of Legends Music』 Get Jinxed

ミュージックビデオ解析

ミュージックビデオを独自に解析してみましょう。

ミュージックビデオは、その映像の性格からいくつかにカテゴリー分けをすることが出来ます。

  1. 歌詞(リリック)の展開や世界観、物語をそのまま語る/語らない
  2. 歌詞(リリック)を文字情報として表示する/しない
  3. 音、テンポに合わせて映像の変化、カット割り、編集をおこなう

サカナクション “アルクアラウンド”

柴咲コウ – 眠レナイ夜ハ眠ラナイ夢ヲ

岡崎体育 ”MUSIC VIDEO”

バブリーダンスPV 登美丘高校ダンス部

山下智久 『Your Step』MV制作メイキング

EXO K 『Black Pearl』 (KOR Ver.)

tofubeats / トーフビーツ -「朝が来るまで終わる事のないダンスを」

前述のTajima Tao氏の手がけたMV


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