映像メディア基礎講座第1回 映像とは?

映像とは?

 

私たちは、日常生活の中で「映像」を見る機会がたくさんあります。私たちが見ている映像は、実際にはどこでどのような形でどんな形式のものを見ているのでしょうか?この講義の中では、映像というものを改めて捉え直し、映像とはどんな概念なのか、映像の特性を解きほぐしていきたいと思います。また後半では映像にはどんな種類やジャンルがあり、技術や表現としてどのように作られているのかを説明していきます。そして、映像をメディアという見地から、あるいはコンテンツ(中身、内容)という立場から捉え直してみます。

題して『映像を解体』してみる、です。

 

まず最初にいろんな映像を鑑賞しながら、一緒に映像の持っている性質や特徴を考えてみましょう。

実写映画、アニメ、CGアニメ、ドキュメンタリー、VFX合成、コマ撮り、アート作品、など

パラパラマンガ、アニメーション、CG、VFX、モーショングラフィックス、コマ撮りアニメ、タイムラプス、サンドアート、など

私たちは映像をどこでどのような形でどんな形式のものを見ているのか?

実写
映画「LIFE!」(2013) ベン・スティラー監督・主演

人生を変えるきっかけとは?ほんの些細な空想と勇気が人生をもっと豊かのものにしていく

ドキュメンタリー
「This is it」(2009)ケニー・オルテガ監督

奇しくもマイケル・ジャクソンのロンドン公演の舞台演出中のオルテガが急死したマイケルのリハーサル映像を編集して映画にしたもの。彼とマイケル・ジャクソン、出演するメンバーたちの公演にかける情熱と愛が伝わってきます。オルテガ監督は『ハイスクールミュージカル」で一躍有名になった振付師であり、映画監督でもあります。

コマ撮りアニメ
「the SOHO X Post-it」

お台場にあるクリエターのためのデザインオフィスとポストイットがコラボした作品です

CG実写
「オトシカク」

これは静岡文化芸術大学の卒業制作の作品です。音を視覚化するというアイディア、四角化(CG化)するという意味もあって素晴らしい映像を生み出しています。

TVアニメ
「ピンポン」(2014) 湯浅政明監督

この手描き感がたまらなく良いと思います。Flashを用いた中割り演出が不思議な世界観を生み出しています。

TVアニメ
「悪の華」(2013) 長濱博史監督

ロトスコープと言う実写を一度撮影してからその動きをトレースする手法を取っています。手間をかけることによってこれもまた不思議なアニメの世界を生み出していると思います。

「魔法つかいプリキュア!」

とうとうというかUnityを使ってアニメ制作をする時代になってきた。ゲーム、CG、アニメの仕切りはもはやないのかもしれない。
前半はCGソフトMAYAによるレンダリング、後半はUnityによるリアルタイム描画。その差はもうない。

アニメ映画
「楽園追放」予告篇

3DCGのセルアニメ感が成功している

TV-CM
カップヌードルTVCM HUNGRYDAYS 予告/魔女の宅急便 3篇

リクルートポイント すべての人生が、すばらしい

 

JR東海 X’MAS EXPRESS 60秒×5(1988-92)

 

(これらの映像を観た後に問いかけたいと思います)
これらの映像を通して見えてくるものは何でしょうか?

What is The Movie ?
映像とは○○である

What do The Movie have ?
映像には○○がある

 

映像とは、”画像”の集まりである
映像とは、”画素”の集まりである

映像には”種類”がある
映像には”大きさ”がある
映像には”タテヨコ”がある

映像には”色”がある
映像には”深み”がある
映像には”動き”がある
映像には”奥行き”がある
映像には”音”がある

映像には”ストーリー”がある
映像には”心理描写”がある
映像には”意味”がある
映像には”意図”がある
映像には”必然”がある
私たちは、映像を見た時にそこに何か意味があると考え(思い込んで)、その意味を自分なりに考え、発見しようとします。映像の中に何を感じるかを自分の中で問い直すことができます。

あるいは、私たちは映像を見た時にそこに意味を求めたり、見出そうとします。

ということは、

私たちは、映像を創る時にきちんと『何か』の意味を埋め込んでいかないといけません。

この講座は、

私たちが、映像が観客にもたらす影響と逆にその影響をどの様にしたら作ることが出来るかを理解する。

ためのものです。

 

視覚の概念、視覚の特性

映像を捉える前に
視覚という概念があります。

視覚とは、


それは人間の眼で捉えることを意味しますが、

そして視覚には

視覚の特性があり

視覚は色や物の形、遠近感、パースを感じることが出来ます。それによって実生活で移動したり、モノを取ったり、投げたり、さまざまな動きをすることが可能になります。視覚は生物が持つ知覚のひとつであり、自分の周囲の環境を認知する為に必要不可欠な機能です。人間にはふたつの眼球がその役割を果たします。
一方、映像は視覚とは違います。

 

映像の概念、映像の特性

映像は次の制作工程の中で生み出されるものです。


つまり映像は必ずしもただ単に視覚で捉えたものであるとは限りません。映像は常に別の付加要素を含んでいます。

視覚が目の前で行なわれていることに対して、映像は必ずしも目の前で行なわれていることではありません。それは映像が、一旦撮影、記録という工程を経て、新たに誰かの手によって加工編集され、再生(再現)されたものです。そこには音や文字情報などさまざまな付加された情報や加工編集によってデフォルメ、変形、修正など、意図的に付加された要素があるからです。それに対して視覚はなんら加工されたものはありません。あるのは視覚を通して見ている主観者だけです。しかし映像は、目の前の出来事を記録したとしてもその時点で別のものになっているのです。ニュース番組で現場の生中継を見たとしても、そこに映し出されたものは、もう既にその場にいて見ているものとは違うのです。

 

視覚→→→→→→主観者 直接はいってくる

映像→→(撮影)(収録)→(編集)→(再生・上映)→→主観者
↑      ↑
意図     意図

 

視覚と映像

また、演劇の舞台を観ることと映画を観ることは決定的に違うのです。

芝居の観劇と映画の鑑賞は違う

舞台演劇では、観客はその一幕で行なわれる”実時間”を観ることになります。暗転によって時間の移動を表現することはありますが、基本的にその一幕の中で時間が省略されたり、バックしたりすることはありません。演劇の実時間は芝居をしている時間です。ところが映像は違います。ショットあるいはカットと呼ばれる視点が変わる単位ごとに時間も場所も変えることが出来ます。しかも実時間を省いたり、ダブらせたり、ジャンプさせたり、ゆっくり見せたり、早く動かしたりすることが出来ます。演劇を観ることと映画を観ることの決定的な違いがそこにあります。

演劇は、同じフレーム(ステージ)を同一時間、実時間の中で見せていく。
映像は、ショット、カットごとにフレーム(画角)が違い、時間の再生・上映時間も変化する。つまり作者の意図によって映像の見せ方が変わるということになります。

 

映像と実時間

映像の中では必ずしも流れる時間は実時間とは限りません。映像はカットという単位の文節で区切られています。カットとカットは本来は時間が繋がっているものですが、カットは時間と空間(場所)を自由に行ったり来たりすることが出来るのです。

映像とは、時間と空間を駆使することによって表現する技術的手法である
映像とは、時間と空間を駆使することによって表現し、何らかの意図的な要素を含んでいる技術的手法である

観客は自然にその映像やつながりからその映像の中に意味を見出そうとする。映像の作り手はその習性を認知しながら創作する必要がある。


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