先端映像表現技術論第13回 VR、AR、MR

今日はVRの話をします。
2016年は『VR元年』と呼ばれ、VRに注目が集まりました。実際にVRのどこが元年だったのでしょうか?
幾つか検証を交えて話をしていきたいと思います。

そもそもVRはいつ、どこから始まったのでしょうか?

VRとは何?

VRとは”仮想現実”や”人工現実感”などと訳されます。しかし注意しなければならないのは、VRが ”Real=現実”に対して対局をなす言葉ではないということです。つまり現実に対して非現実、ありえない、存在しない、という位置づけではなく、あくまでも現実に近づいた、あるいは現実に似せたもの、というのがVRだということです。

VRの起源とは?

技術的な原点としては1968年にサザーランド(E&S)が発表したHDM(head-mounted Three Dimentional Display)があります。しかし、VRという言葉はまだありませんでした。実際にVRが生まれたのは、1989年のVPLリサーチ社のVRシステムRB2(Reality Built for Two)とデータグローブです。この時初めてVRシステムという言葉が使われました。

VRとは当初『人間の外界知覚をコンピュータによる合成し、それによって周囲に仮想的な世界を構築する』(1992 バーチャル・リアリティ応用戦略」より)としていました。

現在では、少しその在り方が変わってきて、
VRとは『いくつかの最先端の要素技術の集まりで、その集合体のシステムによって、極めて現実にに近い感覚をもたらす』という概念のことです。

つまり、新しいデバイスを組み合わせて新たな視覚映像を作り出したものの総称をVRという、ということです。

では、その変遷を追いかけてみましょう。

 

1993年 岐阜県 ヴァーチャルテクノロジーセンター COSMOS
六面スクリーン

ARという言葉 ウェラブルコンピュータの一種
無線端末、GPSの原型、位置検出
✴当時の考え方は部屋の中で済むVRではなく、実際の場所(拡張した場所、空間)で行うVRという意味

1997年 CABIN 東京大学
多面型全天周ディスプレー

映像の世界でコンピュータが作り出す映像技術の中で
が出現した中で画面としてのひとつのスクリーンに限らない複数の画面による映像環境が作られました。マルチスクリーンです。

VR・AR・MRの違いとは?

VR以外にもARやMRという言葉も脚光を浴びました。実際のAR、MRというのはVRと何が違うのでしょうか?

AR Augmented Reality 拡張現実 という世界

ARはひと昔前はQRコードやシートのような記号コードをカメラにかざすとその位置に何かCGやVR的なモノを配置することを指していました。

セカイカメラ

2008年にサンフランシスコで開催されたTechCrunch50でデビューし、一世を風靡したセカイカメラが、2014年年頭にサービスを終了。ある意味でのARのブームが過ぎたのかもしれない。

これもまた典型的なARの技術です。床に置かれたQRコードの位置情報からそこに恐竜を出現させるというもの
ナショナルジオグラフィックス キャンペーン

8_Live AR National Geographic Campaign_mp4_480 from Dilussion on Vimeo.

「ポケモンGO」

「布袋寅泰 新体感ライブ」
NTTぷららが2018年3月に限定販売したアプリ

「アプリレスAR」
オムニバス・ジャパン

Sky View 天体観測アプリ

任意のQRコードをカメラで読み取るとウェブブラウザを経由してカメラが起動。ARマーカーで映し出すとプログラムした映像が出現

AirMeasure
拡張現実測定キット

Magic Leap
2015年に発表されたMagic Leap社のデモリール。Googleや名だたるIT系会社から出資を受けている。

MR Mixed Reality 複合現実

新しい技術としてMRという言葉が生まれました。ARとMRは非常に紛らわしいものです。実際に何が違うのでしょうか?
これは言葉の定義を考えるというよりも派生している過程を考えるのが正しいと思います。
ARは何等かカメラデバイスによって捉えた現実(実写)に対してVRの要素を拡張して見せているものです。上に挙げた例はすべて体験者が見てるものではなく、カメラデバイスを持ったスマホやカメラで映しだされたスクリーンに合成されたものを見ています。
それに対してMRは体験者はあくまで現実を実際に見た中にグラスやハーフミラー越しにVRを見ています。つまり視覚で捉えた現実にVRを重ね合わせて見ていることになります。

VRとはVirtual Realityの略で日本語に訳すと「仮想現実」と訳されます。CGなどの仮想の空間を表示することにより、現実世界=リアルな世界とは違う視覚情報を目の前に実現化させてくれます。近年はCGのクオリティや演算処理スピードの高速化により、リアルタイムに反応するVRデバイスが出て来ています。

2016年が『VR元年』と呼ばれるわけ

2016年は『VR元年』と呼ばれている。その理由は、数年前からOculus社が研究開発用のVRキットOculus Riftを発売したこと。そしてそのOculusのコンシューマ向け製品が発売されたこと。また、Googleなどがスマホ向けの簡易VRビューワー「google cardboard」が発売されました。

2枚のレンズと間仕切りで構成されたサイドバイサイドと呼ばれる方式によるスマホVRビューワー
ハコスコ
http://hacosco.com/

VRのためのデバイスや開発環境が安価になり、手軽にコンテンツが制作できるようになったことが、VRを爆発的に普及する条件として揃ったという意味で『元年』という言葉が使われるようになった。
VR自体はそれ以前から言われていました。

1990年代、それまでの映像スクリーンとは違う全天周型スクリーンや部屋自体の各面を使ったスクリーン投影が可能になり、没入感のある映像をVRと言うようになりました。

CAVEと呼ばれるスクリーンがその代表です。

HMD型(ヘッドマウントディスプレイ)など今日見られるようなシステムも存在していましたが、大変高価(数百万円〜)で軍事、宇宙航空関係などの分野でしか使われていませんでした。

2000年代後半になり、ARブームが訪れます。

AR三兄弟のようなユニット集団が現れ、スマホで見れるARを開発。

「セカイカメラ」これもスマホのGPS機能を使ったAR。

『WIRED』US版のピーター・ルービンが、それぞれの特徴やこれから予想される影響について説明しています。

TEDでのプレゼンテーション
Microsoft Alex Chapman 「ホログラム時代の未来にあるもの」

参考
VRの今を掘り出すニューメディア


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