先端映像表現技術論第5回 S3Dステレオスコピックス

S3DとはStereoscopic 3Dのことです。3D映画はブームが過ぎましたが、ハリウッドでは未だに3D映画が作られています。かつては立体写真から始まった立体映像の歴史とその原理を明らかにし、その魅力や面白さを理解して欲しいと思います。

立体映像の歴史

  1. 立体写真の歴史
  2. 立体映画の歴史
  3. 立体テレビの歴史

立体写真の歴史

1826年 発明 ジョセ・ニセフォール・ニエプス
1838年 立体写真の発明 イギリス医師チャールズ・ホイートストン鏡を使った
「ステレオスコープ」StereoScope

1848年 長崎に伝搬 長崎商人 上野俊之丞
1851年 ロンドン万国博覧会でブレーク、最初の立体写真ブーム

双眼写真
1867年 (慶応3年)『写真鏡図説』に「双眼写真」の文字
これが日本で最初の立体写真だとされています。横山松三郎(函館)の日光写真、江戸などを撮影しています。

1884年 イーストマン
1888年 コダックカメラ発売

3D映画(立体映画)の歴史

1920年代 実験映画としてスタート。映画の創始でもあるリミュエール兄弟などが実験的に撮影をしました。
1920年代 アナグリフ立体映画の登場       トーキー(音声付き映画)のインパクトに負けた 世界恐慌
本格的な3D映画として大衆に受入れられたのは、50年代にはいってです。

1950年代 第一次立体映画ブーム
テレビの普及とその席巻の中で消えていく
ヒッチコック「ダイアルM」ただし公開せず

1980年代 第二次立体映画ブーム
米国の家庭にケーブルテレビが普及 博覧会 大型映画ブーム       IMAX 3D方式の登場
1883年  「Imagine」韓国
1985年   つくば博「ユニバース」(富士通館) 1986年「Transitions」
1989年   横浜博「IMAGINATION」(三菱未来館)
1990年   大阪花博「ユニバース2」(富士通館)
1990年  「野生よふたたび」
1994年  「ブルーオアシス」
2000年代 第3次立体映画ブーム
きっかけ デジタルシネマの普及 1999年頃より
2002年  「スターウォーズ II クローンの攻撃」フルデジタル(撮影から上映まで)
デジタルシネマ館の普及促進と苦戦
それまではIntermediate film(撮影は35mmフィルムでデジタル化)

2004年  「ポーラーエクスプレス」 初IMAXフルCG(70mmフィルム)  2D興行の3倍
2005年   Show West2005 in Las Vegas 名監督たちの3D宣言(TI テキサスインスツルメンツ)
2005年  「チキンリトル」初デジタルシネマ3D映画  2D興行の4倍 REAL-D
2005年  「チキンリトル」2D3Dディズニー

「ポーラーエクスプレス」初アイマックスIMAX3DでのCGアニメ映画
2009年  「アバター」ピークへ
2009年   国内BS11 世界初3D放送開始

2010年代  3D映画元年? 3Dテレビ元年? 3Dゲーム元年?
2010年6月 IMAXデジタル3Dオープン 109シネマズ系6館 ユナイテッドシネマ系5館
2010年12月 フィルムIMAX3Dは終了 日本最後のIMAX3Dシアターサントリー天保山IMAXシアター

3D映画 30年ごとの3つのブーム

第1次ブーム 1950年代
「Bwana Devil」(1952)
「ダイヤルMを廻せ」(1954初公開せず)
第2次ブーム 1980年代
「Jaws 3D」(1983)   「Friday the 13th 3D」
第3次ブーム 2010年代
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立体視の原理

立体視の原理を説明したいと思います。
人間は2つの眼を持ち、それぞれが見えているものは実は違います。それは眼の位置が違うからです。(両眼視差)そしてその違うものを見ることによって私たちは目に見える物の大きさや距離を認知的に判断することが出来るのです。立体視の原理はその特性を上手く利用して両眼に対してそれぞれ違う画像または映像を見せて上げることにより立体感を感じさせる技術です。言わば強制的に立体視を作り出しているのです。

物体の大きさ、重なり、明瞭さ、移動速度、焦点距離など
運動視差

2視点立体
輻輳角 Convergence Angle
両眼視差 Binocular parallax

多視点立体

劇場における3D映画の上映方式

現行(2015年6月現在)日本国内の一般劇場で上映されている3D映画の上映方式を次の通り掲げておきます。現行では6方式が存在します。

3D劇場映画は現行6方式

MASTER IMAGE 円偏向方式(韓国)
109シネマズ 東宝シネマズはほとんど移行

REAL-D 円偏向方式
ワーナーシネマズ系
スクリーンが通常のホワイトスクリーンではなくシルバースクリーン

IMAX3D 直線偏向方式
109シネマズ 川崎(ラゾーナ)、南町田(グランベリーモール)、木場

Dolby3D 光分光方式
ティージョイ、ヒューマックス系

XpanD 液晶シャッター時分割方式
東宝シネマズ系(初期)、109シネマズ系、MOVIX(ムービックス)系

NESTRI(韓国) 液晶シャッター時分割方式
新規採用 47g超軽量メガネ 大阪シネマステーション(2011)

Technicolor 3D(テクニカラー3D)
既存の35mm映写機を使用し、円偏光フィルター方式にて上映する規格。上映に使用するプリントは3D専用のものであり、1コマを上下に分割し、それぞれ右目用、左目用の画像が記録されている。これらの画像を専用レンズにて円偏光にし上映する[4]。
Sony Digital Cinema 3D(ソニーデジタルシネマ3D)

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国内の3D関連の動き

3Dへの各テレビ局の対応など

BS11 2008年12月放送開始 世界初
海外ロケ、紀行
地方スポーツ中継

スカパー(+ソニー)2010年6月放送開始
ワールドカップ2010 パブリックビューイング
ウインブルドン2011

J:COM(ジュピターテレコム) 2010年4月放送開始 2014年JCN(ケーブルテレビ)と統合
オンデマンド放送 映画、ライブ中継など

フジテレビ
BSフジ「東京コントロール」初の3Dドラマ
アイドル番組「アイドリング!!!3Dング!!!」CS フジテレビNEXT
お台場冒険王 イベント 3Dシアター

TBS
ホワイトスペース特区で放送実験 モーニング娘
THE世界遺産3D BS-TBS

日本テレビ
プロ野球中継 BS日テレ 巨人戦 スカパーとも連携

任天堂
3D映像配信サービス「いつの間にテレビ」2011年6月21日開始
日テレとフジが制作

NHK+NHKメディアテクノロジー
オリンピック
スポーツ、芸術系コンテンツの蓄積

しかし、3Dテレビ普及の不振、3D映画の観客離れなどにより国内の3Dブームは2011年頃から急速にシュリンクしていく。

 


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